先生観察日記
「……今の話で、先生のことがちょっぴりわかった気がします」
先生は、照れたように笑って
「泣き止んだら、早く後夜祭に戻れよ」
と言って、またグランドを見た。
「多分、目も腫れてるし、私もここに残って見てます」
「仕方ないな」
先生は、私のために、窓の右側を空けてくれた。
キャンプファイアーの周りで、みんながはしゃいで踊っている。
先生の眼には、この情景はどう映っているんだろう。
静かに、何の会話もなく、ただ隣にいるだけの私だったけど。
先生を今、この場所でひとりぼっちにしておけないと思った。
こうして、高校最後の学校祭は終わった。