先生観察日記
でもって、エンジンをかけたまま、フルフェイスのヘルメットを被って大声を出す……と。
絶対周りには聞こえずにスルーされるのがオチだ。
エンジンを切れ!
メットを取れ!
それから叫べ!
大学時代、バイトしながら中型の免許を取った俺から言わせてもらうが。
お前、バイクに一度も乗ったことないだろ、いや、近くで見たことすらないだろうっていうのが丸わかりな文章だな。
妄想にも限界アリ、か。
『白いバイクに乗った謎の人の登場に、不良たちは一瞬ひるんだ。
そして、私を置いて一斉に逃げ出した。
「げっ! あれは伝説の総長だ!」
「あの【クローズライン】の8代目総長こと【灼熱の魔鎖(マサ)】だ!」
後に残された私に、その【総長】は優しく声を掛けてくれた。
「怖かったか?
もう大丈夫だと思うが、念のため家まで送ってってやる」
「え、ええ~?」
私を後ろにまたがらせて、すごい速さで駆け抜けていく。
ちょっと怖い。
でも、またあの人たちに絡まれるより、この人と一緒にいた方が安心できた。
頬をなでる風が気持ちいい。
あっという間に家へ着いて、お礼を言おうとしたら……もういなくなっていた』