幸福の涙。-Last dance-
アキは病院に着いてすぐに俺の知らない場所へと消えた。
俺は近くの椅子に腰掛けて、ぼんやりとアキを待っていた。
アキの両親にはもう連絡は入れてあるだろう。
共働きだから、すぐに来るかは別として。
死なないよな…?そしたら俺の決意は、一生伝える事が出来ない。
どれくらい経ったか、俺は何時の間にか眠っていた。
そして誰かに起こされた。

「…アキは?!ねえ、アキは」
「君のお友達は無事だよ、早く行ってあげなさい」

微笑みながら優しく教えてくれた。
だけど少しだけ哀しそうな感じもした。
そんな事を考える余裕は今の俺にはなく、
何処の部屋にいるかを教えてもらい走って行った。
看護師さんに病院内で走るなと咎められたけど、知った事ではない。無視した。

「アキッ」

勢い良く扉を開けたのは良いけれど、本人は眠ったままであった。
姿は痛々しく、頭の部分を始め至る所に包帯が沢山巻かれていた。
アキはドラマでよく出てくる…
名前は分からないけれどその機械に繋がれていた。
他にも点滴の管なんかも。
機械には緑色の折れ線グラフと数字と表示されていて、規則正しい機械音を発していた。
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