〈短編〉俺様なアイツ
『俺の親は仕事が忙しくてよく海外とかに行ってたんだ。お手伝いさんとか普通に居てあんまり寂しくなかったけど…、ある日…お手伝いさんは休みで家に1人だったんだ。その時雷が家に落ちて、俺は隣ん家のおばさんのお陰で病院に運ばれ助かったんだ…。他人から言えばしょうもないかも知れないけど…、5歳児だった俺にとって……とても怖くて……トラウマになったんだ…』
そんなことがあったんだ…
「しょうもないことじゃないよ…。ヒックッ……怖かったよね…ヒック……これからはあたしが側にいるから……だから、大丈夫だよ?」
あたしの目からはなぜかポロポロと大粒の涙が流れ落ちていく。
『ふっ、なんでお前が泣くんだよ…』
「だってー…」
『はいはいー、ありがとな、柚葉』
え…
初めて柚葉って呼んでくれた…
「うん!!後…あたしの過去も聞いてほしい…」