アンバランス ヘヴン
─あんなに泣いたのに、涙は枯れないんだ…
涙と同じ味がする、この果てしない海くらい涙を流せばあたしたちは、もう泣かずに済むのかな。
「咲空…」
「っ…!」
ぎゅっと、後ろから抱きしめられた。
あぁ、力強いこの腕で最後に抱きしめられたらのは、彼女が死んだすぐ後だった…
「…離して」
「咲空」
「離して」
「…てる」
「ナツメ、」
「愛してる」
愛してる愛してる愛してる―
何度も何度も、囁き続ける。