アンバランス ヘヴン


「…嘘、つき」


ナツメの腕をぎゅっと掴む。


本当は愛してなんかいないくせに。


強引にナツメの腕から逃れる。


「…ズルい」


この人はこの人はこの人は。


「…クラ」


知ってて、知らないふりをする。


どこを見てるの、ナツメ…



「サ、クラ…」


あたしに愛を囁いたその口で、今度ははっきりと。


最愛の、姉の名前を口にした。




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