氷狼―コオリオオカミ―を探して
あたしの目の前でゆっくりと半透明の膜が閉じていく。


孤独な夢を見るために


女の子の姿は再び膜の向こうに隠れた。

あたしの手に残ったのは――カッターナイフだ


あの子はもう眠っただろうか

まだ目覚めているならよく見ていて


「道具はこうやって使うもんだよっ!」


あたしは足元の和紙のような底を切った。

生きている証が欲しくてあの子が自らを傷つけた道具で、あたしの希望のために閉ざされた繭を切り開いた。


雪の山にドサッと仰向けに落ちた。


見上げると太い枝にぶら下がっている無数の繭の群れが見えた。

押しつぶされるか、乗り越えられるか、どちらかしかない思いが一つ一つに詰まってる。
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