氷狼―コオリオオカミ―を探して
氷狼は――冬はあの迷いをまるごと飲み込み、雪や氷に変えるんだろう。


浄化するみたい、と思った。


「ハルカ!――チビ、無事か?」

チェイサーの声がする。


あたしは仰向けのまま手を上げて振った。

程なくチェイサーがあたしの横に立った。


「怪我はないか?」


「ない。氷狼は?」


「行ってしまった。俺を足止めしたかったようだな」


「追わなきゃ。起こしてくれない?」


のばした両手をチェイサーがつかんで、あたしを立ち上がらせた。


バランスをとろうとして、また足首が雪にはまった。


「あんたの方が重いはずなのに、なんであたしだけこうなるのよ」


あたしはぶつぶつ言いながら、チェイサーの手を借りて雪の山から下りた。
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