氷狼―コオリオオカミ―を探して
「俺は白魔だからな」

チェイサーはおかしそうに言った。

「冬を狩る者が雪に足を取られるわけにはいくまい?」


「そりゃそうだけどね。あー、カッコ悪い」


あたしはバタバタと足踏みをして雪を払った。


「あんな間近で氷狼を見ても冷静に戦えたのはたいしたものだ。カッコよかったぞ」


あたしは顔を上げてチェイサーを見た。


「人間にしておくには惜しいくらい?」


「そうだな」


「でも、人間だから役に立っているんだよね?」


「ああ」


「何年か頑張れば、立派な白魔になれると思う?」


「やめておけ」
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