氷狼―コオリオオカミ―を探して
階段を真ん中まで下りたところで、下から狐が二匹駆け上がって来た。


「遅いぞ、トムボーイ」

狐が言った。

「オイラ達の首の毛をつかめ」

あたしの両脇に狐が身を寄せる。


「つかんだら痛いよ」


あたしが言うと、狐達は笑った。


「オイラ達が妖魔だっていつになったら分かるのさ」

「その辺の野の獣と一緒にするな」


あたしは恐る恐る狐達の首の毛をつかんだ。


「行くぞ」

「おうよ」


「行くぞって?――う、うわぁ―――っ!」


二匹の妖狐はいきなり階段を駆け下り出した。
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