氷狼―コオリオオカミ―を探して
愛情なんだか、友情なんだか、妖魔にもそんな感情があるんだろうか。

たぶんあるんだろ

違う言葉なのかもしれないけどね


当のチェイサーは、仲間達の気持ちを知ってか知らずかこっちに向かって走って来る――えっ?

こっち?


「チェイサー! 何やってんの?」

あたしは側に来たチェイサーに言った。

「リーダー狼を追ってたんじゃないの?」


「あいつは最後までこの海岸から出ない。先にお前だ」

チェイサーは弓を持つあたしの手を支えた。

「引いてみろ。まだ離すなよ。矢の先を見て」


あたしは言われた通りにした。


「矢の先の向こうに何が見える?」

「え……氷狼」

「眉間を狙え」

「無理! 走ってるもの」

「いいから、狙ってうて!」
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