氷狼―コオリオオカミ―を探して
巨大な氷狼は岩場を下り、チェイサーを待ち受けていた。

チェイサーの後から二匹の妖狐が駆けて行く。


『待っていろ』とチェイサーは言った。

あの日も『待っていろ』とあの人は言った。


「帰って来なかったじゃない、バカ」

あたしはそっとつぶやいた。


もう待つのは終りだ。

あたしは一人で彼を追えるくらい大きくなった。


「どこへ行くのさ、トムボーイ?」

走り出したあたしを別の妖狐が二匹、追ってきた。

「あんたはもう氷狼を仕留めただろ?」


「あたしはリーダー狼を狩る。あんた達に横取りできる?」


「言ったな。取ってみせるさ!」

狐は飛び跳ねるようにあたしの横を走った。
< 119 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop