氷狼―コオリオオカミ―を探して
「ダメだ! ハルカ!」

チェイサーが叫ぶ。


ゴメンね

もう一緒にはいられないの


「十年間ありがとう」

あたしは笑顔で言った。

笑った顔だけ見ていてほしいから。


あの人の髪が、目が色づいていく。

夜のように真っ黒い髪に

夏の海のように真っ青な目に


そうだ


背の高さと青い瞳はアメリカ人のおじいちゃん譲りだって言ってた。


あたしの記憶が戻ってくる。


人と違う目の色が嫌いだと言ってた。

あたしが海の色と呼ぶと、ショウ君は『チビが好きならこの色でいいか』と笑った。
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