氷狼―コオリオオカミ―を探して
2
「チェイサーの願い事に気づいてしまったのだな?」
イタチの声は優しかった。
「たぶん」
あたしはうなずいた。
「小学一年の時、あたしは重い病気になったの。激しい運動は全て禁止。骨髄移植を受けなきゃ長くは生きられないって言われてた」
家族の誰とも型は合わなかったのに、ある日突然、ドナーが見つかった。
そんな奇跡的な事、そうそう起きるはずがない。
「あたしの病気が治るように――それがチェイサーの願い事だったんでしょ?」
「結果的には」
『結果的には』って何だろう?
「本当はなかった命なら、あの人に返してあげたかったの。あたしの十年は幸せだったから」
イタチの声は優しかった。
「たぶん」
あたしはうなずいた。
「小学一年の時、あたしは重い病気になったの。激しい運動は全て禁止。骨髄移植を受けなきゃ長くは生きられないって言われてた」
家族の誰とも型は合わなかったのに、ある日突然、ドナーが見つかった。
そんな奇跡的な事、そうそう起きるはずがない。
「あたしの病気が治るように――それがチェイサーの願い事だったんでしょ?」
「結果的には」
『結果的には』って何だろう?
「本当はなかった命なら、あの人に返してあげたかったの。あたしの十年は幸せだったから」