氷狼―コオリオオカミ―を探して
「それで、だ」

イタチが言った。

「ひょっとして、チェイサーの願い事はまだ有効なのではないかと思うのだ」


「そりゃそうだろ。あの願い事じゃ、トムボーイが生きてる限り――そうか!」

狐が素っ頓狂な声をあげた。

「あんたは、やりたい事を何でも自由にできるんだ!」


「そうらしいね」


「ああもう、鈍いな! チェイサーの願い事が有効なら、あんたはやっぱり人の子のままなんだよ。だって本心じゃ妖魔になりたくないんだからな」


「それなら、帰れるんじゃないか?」

他の白魔達が口々に言う。

「願ってみろよ、トムボーイ!」

「帰れるかどうかやってみろ!」


やってみろって……どうやって?


「強く願いなさい、トムボーイ。あなたが今、身にまとっているその毛皮こそがチェイサーの願い事の証しだ」

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