氷狼―コオリオオカミ―を探して
病室から人がいなくなった後、横のカーテンが開いて、さっきの女の子が顔を出した。


改めてよく見ると、女の子は腕にギプスをしていた。


「腕、折ったの?」


あたしがきくと、女の子はうなずいた。


「ねえ、もう頭は大丈夫?」


「まだ痛いけど、はっきりしてるよ。少しきいていい?」


「いいよ」


「事故があったのはいつ?」


「昨日の朝」


「あたしって、ずっと意識がなかったの?」


「ううん。何回か目を開けたよ。ただ、変な事いっぱい言ってた」


「変な事?」


「狐とイタチと狼の話。意識が混濁してるって先生が言った」
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