氷狼―コオリオオカミ―を探して
退院手続きを終え、久しぶりに見た外の風景は、冬の終わりを告げていた。


所々解けた雪の間から黒いアスファルトが顔を出している。

あの日、雪と氷に覆われていた街路樹の枝も、灰色の樹皮があるばかりだ。


あたしとママを乗せたタクシーは、冬の終わりの街を通り、家へと向かった。


ああ、家だ!


ずっと遠くまで旅をしていた気分


嬉しくて、料金を払っているママを残して先に家に入った。


玄関に弟の靴ともう一つ男物の靴がある。


弟の友達かな?


「ただいま」


そう言いながら居間に入っていったあたしを迎えたのは、


弟と


あの人だった



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