氷狼―コオリオオカミ―を探して
彼のためには、十年の月日をやり直せることを喜んであげなくちゃ


涙がこめかみを伝わって落ちた。


あたしのショウ君はもういない


彼はあたしを『チビ』と呼びさえしなかった。


ボールを蹴りそこなって転んだあたしを抱き起こした人はもういない。

あたしにキスして、『ずっとお前といたい』と言った妖魔はもういない。


それでも

あたしは失われた思い出を一人で抱えて生きていかなきゃ

約束したもの

あたしが全部覚えてるって


そう思っても、涙が溢れて止まらない。


『願い事は慎重に』


ホントにそうだった
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