氷狼―コオリオオカミ―を探して

あたし達は毎日を一緒に過ごした。


桜の下を歩き

緑の草の上に座り

川に石を投げ

梅雨の季節は一つの傘で


勉強も一緒

遊びに行くのも一緒


時々、翔くんは戸惑ったようにあたしを見る。


分かってる

十年前はそんな物なかったものね


あたしは、彼が知らない物の使い方をさりげなく教える。


「夏休みは海に行こうね」


あたしの言葉に翔くんは目を丸くした。


「俺達、受験生だぞ」


「一日くらい平気だよ」
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