氷狼―コオリオオカミ―を探して
「そういやぁ、人の子にしては影が薄いな。まだ火は使えんだろ?」


「うん」


「細けぇことはあいつらの方が分かると思うぜ」


狐が顎で指した方を見ると、白いコートを着た子供が歩いて来る。


「イタチ?」

近くまで来たその子に声をかけてみた。


「トムボーイ! あなただったのか。こ奴が狩りをサボっているのかと思ったが」


「ゴメン。あたしが引き止めてた」


「トムボーイは、影が薄くなってるって心配してる」

狐が言った。


イタチもまた目を細め、あたしの回りをグルッと回った。


「うむ、確かに人の子にしては」


「あたしはまだ人間?」
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