氷狼―コオリオオカミ―を探して
あたし達はファーストフードのお店に入ってコーヒーを頼んだ。


窓側の席に陣取って、寒そうに道行く人々を見る。


「後一ヶ月で終わるさ」


翔くんが言う。

聞き返すように見返すと


「受験だよ」


「ああ、そうだね」


「お前、何だか顔色悪いぞ」


「疲れてるのかも」


翔くんはあたしのおでこに手をあてた。


「熱はないみたいだな」


手の平が温かい。

血の通った人間の温もりだ。
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