氷狼―コオリオオカミ―を探して
覚悟の果てに
1
写真がない。
同じ年の幼なじみとしての翔くんとあたしの写真――これは最初からあるはずがない。
でも、高校生の翔くんと幼いあたしの写真もない。
絶対あったはずなのに。
あたしは天井を見上げてため息をついた。
まるで最初から存在していないみたいに、ってことね
翔くんの記憶を呼び覚ますものが見つからないまま春が過ぎた。
あたしに残された時間がなくなっていく。
あたしの髪はますます白っぽくなり、それを隠すためにあたしは髪を染め、カラーコンタクトを入れている。
あたしは気を取り直し、またクローゼットの中を掻き回して過去を探しはじめた。
「おい、遥」
ドアが開いて翔くんが顔を出した。
同じ年の幼なじみとしての翔くんとあたしの写真――これは最初からあるはずがない。
でも、高校生の翔くんと幼いあたしの写真もない。
絶対あったはずなのに。
あたしは天井を見上げてため息をついた。
まるで最初から存在していないみたいに、ってことね
翔くんの記憶を呼び覚ますものが見つからないまま春が過ぎた。
あたしに残された時間がなくなっていく。
あたしの髪はますます白っぽくなり、それを隠すためにあたしは髪を染め、カラーコンタクトを入れている。
あたしは気を取り直し、またクローゼットの中を掻き回して過去を探しはじめた。
「おい、遥」
ドアが開いて翔くんが顔を出した。