氷狼―コオリオオカミ―を探して
「ずっと家にこもりきりだからだよ。夏休みに入ってからずっとそうじゃないか」

翔くんは叱るように言った。

「一緒に出かけよう」


そうだね

それもいいかも


「ちょっと待ってて。このまま出かけたらママに怒られる」


あたしは引っ張り出したがらくたを、また箱に入れた。


「なあ、遥」


「何?」


「大学を出たら結婚しないか?」


あたしの手が震えた。


「そうだね。いいんじゃない?」


冗談めかして軽く返した。
< 189 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop