氷狼―コオリオオカミ―を探して
「何回でも言うさ」


何度でも言って

あなたの愛であたしをここに引き止めて


「さて、と」

広げていた物を何とかしまい込んで、あたしは立ち上がった。

「いいよ。お待たせ」


返事がない


振り向くと、翔くんはあたしの机の前に立っていた。


「翔くん?」


「遥、これ何?」


翔くんの手には色あせたピンク色のカッターナイフがあった。


美咲ちゃんのカッターナイフ


あたしが氷狼を捕まえた証だ
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