氷狼―コオリオオカミ―を探して
「まさかお前が戻って来るとは思わなかったからな。錯綜してしまったのだろう」


チェイサーはさっきポケットから取り出したものを手のひらにのせて、あたしに見せた。


「なにやら夢を見ていたようだが、これを見て正気に戻った。俺のお守りだ」


チェイサーの手のひらにあったのは、青と黄色と赤のプラスチックのビーズのかたまりだった。


「最初は腕につけていたのだが、糸が切れてな。残った物だけ落ちぬように糸の端を結んだのだ」


「あたしが作ったブレスレットだね」


幼稚園児だったあたしが一生懸命作ったやつだ。

翔くんが嬉しそうに笑って受け取って、誇らしい気持ちになったのを覚えてる。

胸が熱くなって、あたしの目から涙がこぼれた。


「信じらんない。こんな酷い代物を身につけてたの?」

< 195 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop