氷狼―コオリオオカミ―を探して
「人の子ならともかく、妖魔にはちょうどよかろう?」

チェイサーはほほ笑んだ。


「あなたはもう人間だよ」


「夢の中で別人のようになって生きていたようだったな」


別人だったのかも


「あたしと同じ年の親友になって生きてたよ」


あたしがそう言うと、チェイサーはニヤッと笑った。


「切れ切れだがその記憶もある。言っておくが、親友ではなく恋人だと思っていたようだぞ」


「ああ、まあね」


「歯切れが悪いな、トムボーイ」

チェイサーはあたしを包むように抱きしめた。

「俺はお前と一緒に生きていけるのか?」


「生きていけるよ」


あたしは、彼の胸にほほを寄せた。


心臓の鼓動が聞こえた。
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