氷狼―コオリオオカミ―を探して
「チビ、お前が赤ん坊だった頃からずっと愛していた」

チェイサーの唇があたしの額に触れた。

「いつだって愛していたよ」


「思い出してくれてよかった。あたし、あやうく白魔になるところだったんだよ」


チェイサーは戸惑ったような表情を浮かべた。


「なぜそうなった? 俺はまだ、全部思い出した訳ではないのだな」


「大丈夫」

あたしは、彼を見上げてほほ笑んだ。

「あたしが覚えてる。全部、全部覚えてる。長い話だけどね」


チェイサーはあたしにキスをした。


「時間はたっぷりあるさ」







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