氷狼―コオリオオカミ―を探して
「秋の終わりに<古い年>が北の地から氷狼(こおりおおかみ)の群れを放つ。それがお前達が言う冬だ。

<古い年>が死に、<新しい年>が生まれたら、俺達は氷狼を追い立てながら狩りをする。氷狼がいなくなった地は新しい生命が満ちる」


「春ね」


馬の乗り手はうなずいた。


「ああ。そしてお前が氷狼を捕まえることができたら、一つだけ願いがかなう」


願いがかなう?


「何でも?」


「何でも。だからそれで『帰りたい』と願えばいい」
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