氷狼―コオリオオカミ―を探して

あたしはチェイサーの前に立った。


「あたしは何をすればいい?」

挑むように見上げて言う。


チェイサーはあたしの顎に手をやると身を屈めた。


えっ?


唇が重なって、冷気が体の中に流れ込む。

今度は気が遠くなることはなかった。


「今のは何?」


あたしの問いにチェイサーは微かな笑みを浮かべた。


「冷気をその体に入れた。急に大量に入れると凍死するからな。少しずつ入れねば」


「ねえ、どうして冷気を入れるの?」


「狩りの準備だ。寒さを感じなくなる」


「それ、元に戻るんでしょうね」


「人の世界に戻れば少しずつ」
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