氷狼―コオリオオカミ―を探して
「怒らないのか?」

チェイサーがきいた。


「怒らせたかったの?」


あたしはチェイサーのアイスブルーの瞳を真っすぐに見た。

自分でもどうして怒らないのか分からない。


「いや」


「じゃあなぜキスしたの?」


「したかったから。ほんの気まぐれだ」


「あたしも、怒らないのはほんの気まぐれだよ」


「次は怒る事もあるのか」


「次はない」


「あるとも」


チェイサーはもう一度あたしを抱き寄せた。


「少なくとも俺はキスしたい」
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