氷狼―コオリオオカミ―を探して
最初に、チェイサーが差し出す篭手を受け取った。


篭手は白い革製で、銀の留め金がついている。


あたしは篭手を左手にはめ、次にこれもまた純白に仕上げられた弓を受け取った。


それほど長くない弓で、中央が内側にへこみM字の曲線を描いている。


重いのを覚悟して持ったけれど、意外にも軽い。


あたしは矢を番えずに引いてみた。


振動をとるスタビライザーがない分、矢が離れる時にぶれそうだ。


「馴れが必要かも」


あたしが言うと、チェイサーはうなずいた。


「部屋の端から壁に向かって射てみろ」


「壁に穴あくよ」


「構わん。的がいるな」


チェイサーは壁際まで行くと、地図を示した時のように棒で壁に触れた。


白い壁に薄墨色の五重の円が浮かび上がった。
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