氷狼―コオリオオカミ―を探して
実際に矢を番えて引いてみると、しなりもよく使いやすい弓だった。


何よりも矢がよく飛ぶし、威力がある。


ただ使い馴れない者にとっは、狙った場所に命中してくれない弓でもあった。


「小鳥を射る訳ではないから何とかなるだろう」


チェイサーが言った。


「外れてあんたに当たっても同じ台詞を言ってよね」


「その時はその時だ」


「狐に当たったら怒るでしょうね」


「カンカンだろうな。見てみたい気もするが」


その時ドアが開いて、狐が何人か入ってきた。


あたしが弓の弦を弾いてピンッと鳴らすと、チェイサーが吹き出した。


「なんだよ」

狐の一人が言った。

「何か面白い事でもあったのか?」


「いや。これから起こるかもしれぬのだ――氷狼の足跡は見つかったか?」


「もちろんさ」
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