氷狼―コオリオオカミ―を探して
「氷狼の食べる物って何?」


あたしがきくと、狐達はまた口々にしゃべりだした。


「何でもかんでも」

「動物の命を」

「虫の命だって」

「落ち葉も芝生も」

「夏の記憶を」

「秋の憂いを」

「人の子の声さえも」


チェイサーが顔をしかめて手を振り、狐達を黙らせた。


「要するに冬が飲み込む全ての物事を奴らは喰らう。喰らうからこそ、冬はすべてを雪と氷で覆い尽くす」


「一度雪で覆われれば、野山には食うものがないのさ」

狐が言った。

「野山の生き物は冬眠するからね。でも、街に住む人の子ときたら季節も時間もお構いなしだ。おかげで氷狼は大きくなるばかり」


「おまけに人の子の知恵を飲み込んで賢くなっている」

と、チェイサー。

「ここ数年の狩りは大変だ」
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