氷狼―コオリオオカミ―を探して
今度は少し多く冷気を入れられたのか、頭がクラクラした。


「連れて行ける訳がない。忘れていい」


チェイサーはあたしの口元でささやくように言って、また唇を重ねた。


あたしがおとなしくキスを受けているのは、冷気で頭がぼうっとしているせい?


それともキスがステキだから?


しばらくしてチェイサーが顔を上げた。


あたしは彼の胸に頬を寄せて黙って抱かれていた。


もしも


もしもあたしが氷狼を捕まえられなかったら、こうやってこの人と一緒にいられるんだろうか?


待って!


何考えてんの、あたし?


それじゃあまるで――


あたしは弾かれたようにチェイサーから体を離した。


アイスブルーの瞳があたしを見つめている。


あたしは


あたしは


どうやら生まれて初めての恋に落ちたらしい。
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