氷狼―コオリオオカミ―を探して
「ありえない」

思わずあたしは口走った。


『何が?』と言うようにチェイサーがあたしの顔をのぞき込んだ。


「何でもない」

あたしは慌てて言った。


そうだよ

何でもない

恋なわけない

だってこの人――人じゃないけど――のこと何も知らないもの

ちょっとキスされてぼうっとなっただけ


「少し冷気が強かったか?」

チェイサーはあたしの頬に手をあてて言った。


うわぁ――――ぁ

やめて! 意識しちゃう!


「チビ?」


誰ぁれがチビだってぇ?


一気に正気に戻った。


「チビじゃないっ!」


普通、身長160センチの女を『チビ』とは呼ばない。
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