氷狼―コオリオオカミ―を探して

日没がくる。


あたしはチェイサーに『好き』とは言えなかった。


本当にそうなのか、あたしだって確信を持てずにいるんだもの。


「上からの眺めはどうだったね?」


下に戻ったあたしにイタチがきいた。


「キレイだったよ」

チェイサーのアイスブルーの瞳も

「何もかもが白銀の世界で」

チェイサーの髪のように


――ダメ あたし重症だわこりゃ


「チェイサーはずいぶん念入りに冷気を入れたと見える」

イタチはクックッと笑った。

「唇が紅いな、トムボーイ。まるでたっぷりと口づけされたようだ」


えっ、嘘!


顔が熱くなった。


「ほう、あの堅物でも娘に心動かされることがあるのだな」


イタチは面白がるように、少し離れた場所で狐達と話しているチェイサーに目をやった。
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