氷狼―コオリオオカミ―を探して
肝心のチェイサーがどう思っているのか分からないのにこんな話は馬鹿げてる。

彼はただ『一緒に行くか?』とあたしに言っただけ。

ほんの気まぐれじゃないって言える?


いつかきっとチェイサーと同じ妖魔の女の子が、彼の孤独を癒してくれる。

その方がいい

彼のためには


多分、あたしのためにも


「あんたは弓にしたんだ」

狐が声をかけてきた。

「蹴りだけでも氷狼を倒せそうだけどな」


「あんた、あたしが踏んずけた奴?」


「そうさ。ひょっとして、まだオイラ達の見分けがつかないの?」


「分かんないよ。みんなお面をつけてるんだもの」


「嫌だなぁ」

狐は頭を振って言うと、近くにいた別の狐を引き寄せた。

「よく見ろよ。全部少しずつ違うんだぜ」
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