氷狼―コオリオオカミ―を探して
「チェイサーは面をつけないんだね」


「あいつはでかいからね。つけたところで、ごまかせやしない。それにどこの部族にも属してないし」


えっ?


「どうして?」


「やれやれ、その目はお飾りかい、トムボーイ?」


赤目狐はそう言って自分の面をずらした。


細面の美しい顔だ。


イタチとは明らかに違った顔立ちだったけど、どちらもコンピューターグラフィックみたいに生命感がない。


「チェイサーとは違うだろ?」

面を元に戻す。


「そうだね。気を悪くしないでほしいんだけど、あんた達の顔立ちにはなじめないな」


「いいよ、無理もない。チェイサーの顔ならなじめるだろ?」


あたしはコクンとうなずいた。


「あいつは元は人の子だったからね」
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