氷狼―コオリオオカミ―を探して
チェイサーが人間?


じゃあ、彼は氷狼を捕まえられなかったの?


ううん、違う


チェイサーのマントは彼が初めて狩った氷狼の毛皮って言わなかった?


チェイサーは人間の世界に帰らないで、別の願い事をしたに違いない。


――いったい何を?


その願い事はかなったんだろうか?


不意に、チェイサーがあたしの方を見た。


あたしはアイスブルーの瞳を見返しながら考えつづけた。


どうして会ったばかりのチェイサーにこんなにも惹かれる?


あたしは人間だった時の彼を知っていたんだろうか?


記憶の中を探っても彼の顔はどこにもない。


――俺達の世界にいる間、お前は人々の記憶から消えるのだ


チェイサーはそう言っていたっけ


――まるで最初から存在していなかったかのように


そんな事、本当にありえるの?
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