氷狼―コオリオオカミ―を探して
玻璃の谷
1
石の砦を駆け抜け、夕暮れの街へと妖魔達が踊り出た。
彼らの高揚した雰囲気につられて、あたしまで気が高ぶる。
辺りは見る間に暗くなり、街灯が雪の道路を照らし出している。
建物と建物の間を強い風がうねるように吹きすさび、音を立てる。
タン ト タタン
タン ト タタン
風の太鼓だ
「チビ、手を出せ」
見上げると、チェイサーが馬上から手を差し延べていた。
「俺の後ろに乗れ」
「馬なんて乗ったことない」
あたしが首を横に振るとチェイサーは声をたてて笑った。
「心配するな。普通の馬ではない。お前が逆立ちして乗っても、振り落としたりはしない」
半信半疑で、あたしはチェイサーの手を取った。
「鐙に足をかけろ」
無理
かかるもんかっ!
彼らの高揚した雰囲気につられて、あたしまで気が高ぶる。
辺りは見る間に暗くなり、街灯が雪の道路を照らし出している。
建物と建物の間を強い風がうねるように吹きすさび、音を立てる。
タン ト タタン
タン ト タタン
風の太鼓だ
「チビ、手を出せ」
見上げると、チェイサーが馬上から手を差し延べていた。
「俺の後ろに乗れ」
「馬なんて乗ったことない」
あたしが首を横に振るとチェイサーは声をたてて笑った。
「心配するな。普通の馬ではない。お前が逆立ちして乗っても、振り落としたりはしない」
半信半疑で、あたしはチェイサーの手を取った。
「鐙に足をかけろ」
無理
かかるもんかっ!