氷狼―コオリオオカミ―を探して
あたしは松明を川面に向かって投げ入れた。

チェイサーは放物線を描いて落ちていく炎をじっと見ていた。


「俺達は雨や風のようなものだ。老いる事もなければ病むこともない。そして死す時は消え去るだけだ。ちょうどあの炎のようにな」


「妖魔も死ぬの?」


「時には。狩りに失敗することもある」


「狩りをやめたくなる事ある?」


「ないな。そんなことを考えた事もない。お前はなぜ息をする?」


「え?」


「それと同じだ」

チェイサーは肩越しにあたしを見た。

「さてと、お前の氷狼を捕まえに行こう。飛ばすぞ。つかまれ」


「うん」


あたしは両手をチェイサーの体に回した。
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