氷狼―コオリオオカミ―を探して
チェイサーが馬の脇腹を蹴った。


そんなにしっかりしがみつかなくていいのかも。

だって妖魔の馬はあたしを振り落としたりしないって言ってなかった?


でもあたしはチェイサーの背に頬を預けて、ギュッとつかまった。

マントの毛皮はフワフワと柔らかかった。


ふと何か懐かしい気がした。


妖魔の馬が風を切りながら走りだす。


あたしは風の音を聞きながら考え続けた。


チェイサー

やっぱりあたしはあんたを知っているはずなんだ。


あたしはこの背中の広さを知っている。

『チビ』と呼ばれる時の声の響きを知っている。


なのに何であんたを思い出せないんだろう?

まるで幼稚園の時の記念写真を見ているみたい。

仲良しだったはずの子なのに名前が思い出せない時のような感覚――
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