氷狼―コオリオオカミ―を探して
木々の根元は雪の吹き溜まりになっていた。

いつの間にか風はなくなり、吹き溜まりのこんもりとした曲線の上に雪が音もなく降り積もっていく。

雪明かりに照らされて、チェイサーのマントがチラチラと光った。


「ずいぶんと風が穏やかになったね」

あたしは前を歩くチェイサーに話しかけた。


「そうだな。氷狼がもう通り過ぎた後なのだろう。あるいは息を潜めて隠れているか」


やめてよ

この雪の中に隠れられたら見分けがつかないじゃない


警戒しながら辺りを見回すと、氷が張り付いた黒い枝からぶら下がる無数の白い滴型のものに気付いた。


「チェイサー、あれは何?」


チェイサーはあたしの視線の先を追った。


「人の子の感情、迷う思い。氷狼の餌だ」
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