氷狼―コオリオオカミ―を探して
もうそれ以上話してくれないのかなと思った頃、チェイサーがポツリポツリと話しはじめた。


「とにかく自分が生きているのが無意味に感じていたのだ」


足元で雪がギュッギュッと音をたてる。


「白魔達に捕まった時はむしろホッとした」


天からの雪がチェイサーの白い髪に落ちていく。


「俺は生きなくていい。死ななくていい。俺に関する記憶は消され悲しむ人もいない」


「あんたの願いはどうしたの?」


「俺の大切な人のために使った」


「大切な人がいたのにどうして消えられたの?」


「その人はつらい思いをしていた」

チェイサーは立ち止まり、あたしを見た。

「俺と一緒にいてつらい日々を過ごすくらいなら、俺なしで幸せになってほしかった」
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