氷狼―コオリオオカミ―を探して
あたしはチェイサーの色の薄い、アイスブルーの瞳を見返した。


チェイサーの大切な人があたしであってほしいという望みと、そうであってほしくないという恐れがせめぎあう。


「ねぇ、それを決めるのはその人だと思った事はない?」


「ない」

チェイサーはあたしを腕に抱いた。

「自分の選択を後悔した事は一瞬たりともない――だが、いくつもの冬を追い、いくつもの土地を通り抜けて行くうちに俺の中で何かが変わった。今ならば人間として生きられる気がする。皮肉なものだな」


「チェイサー」

あたしは顔を上げてチェイサーの頬に頬を寄せた。

「あんたの左斜め後ろに氷狼が三頭隠れてる」


「お前の後ろには五頭いる」

チェイサーがささやくように言った。
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