氷狼―コオリオオカミ―を探して

狐は鋭い鋼の牙をたて、あたしが射た氷狼にとどめをさした。


「ちょっと! あたしの獲物なのに!」


「オイラの獲物だよ」

狐が得意げに言う。


嫌な奴!


あたしの後ろでチェイサーの剣が何かに当たる音がして、あたしの横に氷狼が倒れ込んできた。

慌ててあたしは飛びのいたけど、氷狼はぴくりとも動かない。


「急所は二ヵ所!」

チェイサーが言った。

「眉間と喉だ」


そんなピンポイントで当たるはずがないっ!


せめて、あたしの射た氷狼に狐が飛びかかるのやめてくれれば、とどめを刺せるかもしれないけど。
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