氷狼―コオリオオカミ―を探して
三頭目をなんとか倒して――やっぱり最後に仕留めたのは狐だけど――ふと顔を上げると、はるか先を走る氷狼の群れが見えた。


「狐、あれ!」


「おやおや……」

「ああ、オイラ達は足止めされてたって訳だ」

「行くぜ、トムボーイ」

「海沿いに追い込むんだ」


狐達は口々にしゃべりながら雪の吹き溜まりを飛び越えて行く。


「ちょっと待ちなさいよっ!」


あたしも吹き溜まりを乗り越えようとして、片足がスポッっと雪に埋もれた。


身動きが取れなくなったところで、鼻につんと雪の匂いがした。


秋の終わりに

雪が降る直前に香るあの匂い……

何だろう?


顔を上げると目の前に巨大な氷狼がいた。
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