氷狼―コオリオオカミ―を探して
3
あたしの視線に気付いたのか、女の子はカッターナイフをくれた後に手首をブラブラと振った。
「これ?」
「……うん」
「たいした傷じゃないの。死ぬ気で切った訳じゃないから」
女の子はうつむいた。
「切るとちょっとスッキリするの。やめようとは思ってるんだけどね。気がつくとここにいるの」
人の子の感情、迷う思い――この子はそれなんだ。
「何か悩みでもあるの?」
あたしの言葉に、女の子は軽蔑したように鼻を鳴らした。
「お悩み相談? やめてよ、バカバカしい。わたしは周りの大人が嫌いなだけ。友達顔してる同じ年の子供が嫌いなだけ。そしてたぶん――」
たぶん?
「自分が一番嫌い」
「これ?」
「……うん」
「たいした傷じゃないの。死ぬ気で切った訳じゃないから」
女の子はうつむいた。
「切るとちょっとスッキリするの。やめようとは思ってるんだけどね。気がつくとここにいるの」
人の子の感情、迷う思い――この子はそれなんだ。
「何か悩みでもあるの?」
あたしの言葉に、女の子は軽蔑したように鼻を鳴らした。
「お悩み相談? やめてよ、バカバカしい。わたしは周りの大人が嫌いなだけ。友達顔してる同じ年の子供が嫌いなだけ。そしてたぶん――」
たぶん?
「自分が一番嫌い」