氷狼―コオリオオカミ―を探して
「それは頭にきて当然だよね」
「でしょ? でもね、本当は全部わたしが悪いんじゃないかなって思う」
あたしは驚いた。
「どうして?」
「わたしに悪い所があるんだろうって、そう考えていると人を許せるから。絶え間なく怒りを覚え続けるのはもう疲れた。わたしにだってなりたいわたしがいたはずなんだけど、もう思い出せないの」
「何もかも悪い人なんていないよ」
「どうかもう放っておいて。真実を見つめたら心が壊れるもの」
嘘でかためた繭の中ならば痛みもなく穏やかでいられるの?
それから少女は急に背中を丸め、膝を抱え、鋭い目つきであたしをにらみつけた。
「もう行って! わたしの心が怒りで満ちないうちに」
「でしょ? でもね、本当は全部わたしが悪いんじゃないかなって思う」
あたしは驚いた。
「どうして?」
「わたしに悪い所があるんだろうって、そう考えていると人を許せるから。絶え間なく怒りを覚え続けるのはもう疲れた。わたしにだってなりたいわたしがいたはずなんだけど、もう思い出せないの」
「何もかも悪い人なんていないよ」
「どうかもう放っておいて。真実を見つめたら心が壊れるもの」
嘘でかためた繭の中ならば痛みもなく穏やかでいられるの?
それから少女は急に背中を丸め、膝を抱え、鋭い目つきであたしをにらみつけた。
「もう行って! わたしの心が怒りで満ちないうちに」