もっと早く‥
私は自分の目を疑った。






ここに来るはずのない人が立っていたのだから。







「紗夢~。こんなとこに隠れてたのかぁ。」






ニコッと笑う兄。






「…。」





私は目を逸らした。






もう逃げられない。






「紗夢、中に入れろ。」



「…帰って…。」



「はぁ?」



「帰ってよっ!」





私は兄を睨んだ。





「お前感情思い出したか。」





片方の口角を上げる兄にゾクッとした。
< 120 / 313 >

この作品をシェア

pagetop